【高校入試問題の問題点-2】 SS過疎地対策問題 

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 29年度都立入試の大問3の問3は,SS過疎地の問題が取り上げられていた。

 この大問では,「A」という記号が酒田市を示すものとして使われており,「A村」という示し方は不適切であった。

 字体が違うから違う場所だ,と言い逃れることも可能だろうが,紛らわしい「A」は使ってはならない記号であった。

 さて,この「A村」では,村に唯一残っていたガソリンスタンドが廃業を検討していたため,村が存続を要請したことと,村民にこのガソリンスタンドで燃料を買ってほしいと住民に呼びかけたことが示されているが,そもそもなぜ村唯一のガソリンスタンドが廃業を考えていたかというと,食べていけないか,そもそも高齢化で後継ぎがおらず,店が開けない状況になっていたことが背景にあると想像される。

 A村は財政的にも厳しいに違いない。面積も大きくなく,人口は少ない。山間部だから,産業もあまり期待できない。

 過疎地のガソリンスタンドの中には,経営難・後継者難のほか,地下タンクの入れ替えの時期に廃業を決めるところもあり,補助金なしでは存続が難しいところもある。

 自治体がエネルギー供給拠点確保のために,事業に積極的にかかわる地域もある。

 さて,問題は,「なぜA村が存続の要請を行ったのか」「なぜA村が村内で燃料を買うように住民に呼びかけたのか」という二つの取り組みの理由を,地形と高齢化に着目して述べればよいのだが,

 まず,後半の呼びかけがあった理由は,「村外のガソリンスタンドで買っていた人が多かった」ことが背景に考えられる。なぜなら,隣村で10km離れたところにガソリンスタンドが2つあり,おそらくこちらの方が安かったか,通勤経路の途中にあり,便利だったかという理由が考えられる。

 地形がどうあれ,自動車の燃料であるガソリンは自動車に乗って買いに行くわけだから,住宅地に近いかどうかはそれほど問題ではないのである。

 つまり,A村の2つ目の取り組みに対する答えは,地形と高齢化に着目しても,書けないことになる。

 では,1つ目の「存続要請」については,どのような理由が考えられるか。

 近くのガソリンスタンドがなくなると困るのは,たとえば暖房用の灯油を歩いてガソリンスタンドまで買いに行っていた人たちである。自動車をもっていない人もこれにあたる。

 「65歳以上の人口が増えていること」との関連は,特に自動車を運転しない高齢者が困る,ということだろうか。

 ただ,80歳以上の人口も増えていることを考えれば,「歩いて買いに行けない人も増えている」のが現状だろう。

 こういう「買い物弱者」問題は,ガソリンスタンドがあるかないか,近くにあるかないかではなく,「配達などの供給システム」の有無の問題なのである。

 この問題の正答例としては,

>高齢者の割合が増加しているA村は,山間部にあるため,唯一のガソリンスタンドが廃業すると,高齢者などが村外のガソリンスタンドへ行くのに遠くて大変になるから。

 となっているが,実際にはどうだったのだろう。

 A村の北側にある自治体には,A村に近いところに4つのガソリンスタンドがあるから,こちらに注文して届けてもらえばすむ話である。

 実際には,村内に「エネルギー供給拠点がなくなること」が心配だという自治体としての問題なのではないかと思ってしまう。

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